北海の砂島より

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交通警備員・飯村おさむ(53)渡欧挑戦記【2】ウクライナ1部編

東欧の冬のように頭髪も寒くなってしまった飯村おさむ
ピッチ上でも警備員時代の制服を身に纏っている

飯村おさむ53歳の突然の渡欧を受け入れてくれたのは、本人にとって縁もゆかりもないウクライナ・テルノーピリのサッカークラブでした。それにはクラブの取締役Dmytro Andrieshynの鶴の一声が大きく関わったとされています。飲み屋で謎の日本人と意気投合したからといってサッカーに関してズブの素人をいきなり監督の地位に据えるなんて、取締役もいよいよ焼きが回ったとしきりに噂されたものです。

美しい湖畔の街テルノーピリ  写真は市議会から拝借

しかし怒涛の一年間が終わって順位表を見てみれば、意外にもチームは2位に居座り1部リーグへの自動昇格枠を勝ち取っているではありませんか。

飯村おさむはチームに大改造を施したわけではありませんでした。既存の選手層だけでまず可能性を見出し、足りない部分には燻っている選手を拾ってきて活躍の場を与えてやる。経済状況が芳しくない地方クラブと飯村の志向は存分にマッチしたといえるでしょう。

ローブロックにて耐え難きを耐え、忍び難きを忍びカウンターの一撃をもってして試合を仕留める戦術は、古典的ながらも37得点13失点と着実な成績を残しました。

飯村本人に言わせれば、「3本ずつ持ってきたイチジク浣腸(=おそらく3トップのことだと思われる)を突うずるっこんでやると、糞(=おそらくワンシャドーのこと)が出口を求めて腹の中でぐるぐるしてくるように、単純な戦術に過ぎないよ。」

 

たどたどしいウクライナ語でフィーリングだけで語る飯村監督の手法は、人を楽しませるウィットに富みながらも未だに懐疑論者が多いのもまた事実でした。おさむ本人もそれを分かってか、彼らを黙らせるには1部リーグ残留を成し遂げるしかないと、静かなる瞳の奥で熱い闘志を燃やしているようでした。

 

最低でも降格回避という目標設定の低さに、立ち位置が伺える

 

落ち着く暇もなく新シーズン開幕です。

 

~23-24夏移籍~

まず昨年の移籍はこんな感じ。

かなりの人員整理をして移籍金収入はたったの13万ユーロ…。どちらかというと選手放出でカットした賃金分が金額としては大きく(30万ユーロ)、1部残留に向けてできるだけ高水準の選手を補強するリソースを確保した。

 

で23-24シーズンの肝心の補強選手ですが、だいぶ前から準備してきました。なんか昇格できそうな雰囲気立ち込めてきた23年1月時点から、全ウクライナ国籍のボスマン移籍可能な選手をリストアップ。ひたすらスカウト派遣して代理人に可能性を尋ねる感じで、最終的に14名が契約してくれそうだったのでそのうち11名を獲得しました。だいたいスカッド20~22人くらいなので半分は入れ替える形。

もちろん代理人に尋ねるタイミングによって選手の返答が変わるので、クラブの昇格が決まったあとに尋ねまくった感じです。それでも50名くらいリストにいたのに14名しか興味もってくれなかったな……怪レい日本人監督がマイナスイメージだったかな?

 

前年から引き続き1部でも戦えそうな人はターゲットマンSukhoruchko、左ウィングBorysenko、左ボランチPrykhodko、左サイドバックTsiupa、センターバックKovtunの5名。ロートルUcheさんとSharperさんは昨季限りで現役引退とのことで、代役を探さなければなりません。ロートルロートルと小馬鹿にしてきましたが間違いなく昇格に欠かせない人材で、非常に助かりました。ありがとうございました。

こんな感じで11名補強の必要が出てきた

ゴールキーパーハーフバックシャドーストライカーあたりはモロ成績に直結しそうなので良い人材獲りたい。センターバックにビルドアップ能力欲しいし、プレイメイクできるウィングも欲しいですね(ほしがりさん)

見ての通り戦術は2部時代と変わらずドン引きカウンター狙いなので、それ念頭に選手獲得していきました。

 

てことで11名紹介していきます。

 

広い範囲を守るスイーパータイプではないものの、反応14、一対一15、ハンドリング14はローブロックでがっちり守るGKとして十分高水準。集中力14とミスがなく、何気に長距離キックも蹴れる。コーナーキックのクロス対応が弱点だけどCB陣がきっとなんとかしてくれるだろう。

ただウクライナよりクリミアのファンに親しまれるってバイオグラフィー、なんだかゲームでも現実をちらつかせてきますね……。

 

白い歯が眩しいッ!加入組では唯一の外国人で、でもウクライナってシャフタール産ブラジル人選手のイメージ強いよね。潜在能力はチームで一番高い21歳。ジャンプ到達点17が目を引きますね。

 

昨季までBorysenkoの後ろをTsiupaがカバーしていたけど、彼の若干上位互換みたいな選手が他クラブで契約切れそうだったので獲得。テクニック6とか判断力7みたいな分かりやすい欠点はあるけど、これだけ黄色の能力が多かったら御の字ですよ(ウクライナ2部目線)。

視野・予測・クロス・パスが12以上なのでアシスト性能に期待。

 

アルメニアリーグにいたウクライナ人。クロス14が目を引く3バックの一角っぽい能力をしていて、ビルドアップが最低限出来そうなので年俸6万ユーロで獲得した。30歳なので2~3年しか活躍できないだろうけど、見てくださいこの黄色能力の多さ!!!!ワールドクラスですよ……(当社比)

 

本当はセンターバックの控えとして獲得したはずが、結局右サイドバックが市場に転がってなくて補強失敗したのでコンバートする。戦術的に攻撃時は左SBだけオーバーラップして2CBと右SBで擬似的3バックにするので、まあタックルができたら良いです。顔も強そうだし。

 

うちにとっては破格の高年俸12万ユーロで契約したザ・ロートル。32歳と衰えの兆候が出始める年齢だけど、190cmの長躯でスタミナ15運動量14強靭さ14の重戦車が中盤の底に居座ってるってなかなか怖くないか?と思い獲得した。相手GKがロングボール蹴ったときに絶対競り勝ってマイボールにしてくれるのを期待する。足は遅いのでセンターバックではなくハーフバック起用。

 

21歳の若手でアンカーや左SBもできる。健康さ低いけどまあ成長込みで期待。

 

フィジカルよわよわ!これでも☆3判定の我がクラブ……いないよりマシ。

 

  • 攻撃的MF Vitaliy Kvashuk

ウクライナちびまる子ちゃんの永沢君みたいな……ちょっと賃金奮発して獲得したスター選手(当社比)。本職右ウィングだけどシャドーストライカーとして起用します。30歳にもなって新ポジションやらされるの可哀相~。

というのもスタミナ9が結構気になってて、戦術的にウィングの人が走行距離長めなので代わりにシャドーの位置でテクテク歩いてもらおうかな。特に秀でた能力があるわけじゃないけど、まあ平均以上。

 

  • 右ウィング Artem Shchedryi

予測判断冷静さに欠けるところはあるが、純粋なウィンガーとしてチャンスメイク能力はありそう。賃金も結構高めなのでそれ相応の活躍を期待する。本職は左Wだけど既にBorysenkoがいるので右Wに回ってもらう。

 

  • ウィング Mykyta Tatarkov

他クラブで干されてたけど、両サイドのウィングポジションできるので重宝する。一線級だけど主にローテ要員として起用。

 

以上11名です。さながら22-23ノッティンガム・フォレストの気分だけど、かかった移籍費用はたった7万ユーロで、9名が自由移籍!130万ユーロの人件費予算内で結構良い補強になったと思う。

本来欲しかったターゲットマンの控えだけは見つからず。過密日程でもないのでわざわざ獲得する必要性は薄く、昨季シャドーの位置でスタメンだったRiznykを控えとしました。彼はスピードで裏抜けするタイプだから全然ポストプレイヤーじゃないけど……

でも昨季の選手層はほとんど能力値が白色だったので、だいぶ様変わりしたなあという印象です。これだけチームメンバー入れ替わったら普通ダイナミクスが心配になるけど、昇格した勢いのままだから割と大丈夫でした。

去っていった選手は現実では地元に根ざした人気選手なわけで、なんだかな~とも思ったり。すまない、これも1部定着のための致し方ない犠牲だ。コラテラル・ダメージに過ぎない。シュワ「ふざけやがってぇ!(バゴォ

~シーズン前半戦~

ウクライナ2部リーグは年間21試合のみという閑散ぶりでゲームとしては暇すぎてしょうがなかったけど、1部リーグは30試合が行われるようでひとまず安心。それでも少なく感じる……雪国だからスケジュールはしょうがないね。

シャフタール・ドネツクディナモ・キーウといった欧州に名だたる強豪クラブがCL予備予選出場権1枠を争うリーグなんですが、はてそれ以外の1部クラブ知ってる?といわれたら全然知らない人、結構いるんじゃないでしょうか。いや自分もそうなんですが。

FM23で確認できるデータでは、少なくとも2003/04シーズンからシャフタールディナモキーウが二強が優勝を争うリーグになっていて、正直これはつまらんなあと思ってしまいますね…。どちらかというと熾烈な残留争いに毎年目が向けられるリーグなのかなと想像します。

昇格組Nyva Ternopilは、この二強相手に勝てないのはまあ当たり前として、それ以外のクラブに対していかに勝ち点を稼ぐかが残留への鍵になりそう。

  • 第1節 vs Minaj(A) 4-0 勝利
  • 第2節 vs Chornomorets(H) 4-0 勝利
  • 第3節 vs Zoria(A) 1-0 勝利

……あれ?開幕三連勝?

シャドーストライカーKvashukのハット、狙い通り感すごい

MinajChornomoretsはネタバレすると最終的に降格してしまうくらいにチーム状況が悪いのでまあわかるのですが、Zoriaは19/20と20/21シーズンにリーグ3位、翌年21/22シーズンも4位を記録する強豪なのでめっちゃビックリ。

意外と1部相手にドン引きカウンター刺さってるぞこれ…!

第3節のスタッツみるとポゼッションでは36%と大いに負け越してるけどこちらのシュート12本に対しZoriaは5本しか打てていない。それで途中交代で入ったポーチャーRiznykが決勝点決めている。シュートを打たせない守備ができている??

決勝点をぶち込むRiznyk ゴール前の人数がいい感じ

よっしゃ!この勢いのまま勝ち点積み重ねて残留目指すぞ!!

 

  • 第4節 vs Veres(A) 0-1 敗北

まあそう簡単にはいきませんよねー

ってこの試合だけは本当に納得いかなくて、不利なアウェーゲームなのに相手より13本も多くシュート打ってノーゴールに終わるなんて……決定力さん!?

FM名物 ペップクロップ交換
  • 第5節 vs Metalist 1925(H) 3-1 勝利
  • 第6節 vs Shakhtar(H) 0-4 敗北

やっぱりシャフタールには勝てなかったよ……4失点してなおGKが最高評価点になる惨憺たる結果でした。しかもホームなのに()

  • カップ戦 vs Metalurh Zp(A) 1-0 勝利
  • 第7節 vs Vorskla(A) 2-1 勝利

この第7節は激アツでした。たぶん初めての逆転勝利で、しかも逆転弾は後半アディショナルタイムっていう約束された展開。ローテーション要員のRiznyk君がだんだんスーパーサブになってきましたね……

 

  • 第8節 vs Dnipro-1(A) 1-3 敗北

そろそろ引き分けの味を知りたいな~とか思ってたら普通に完敗。やたらイエローカード出てたので苦労してたんだろう……何もしてやれず申し訳ない気持ちでいっぱい。

とうとうコンチネンタルライセンス取得

とここでDnipro-1戦後、Nyva Ternopilに激震走る――…正GK半年以上の長期離脱

いやいやいやいやいやいやいやいや勘弁してくれぇ!?
ここまでリーグ5勝3敗で11得点10失点、安定した戦績とはいえないけどGKがめちゃくちゃ奮闘してるのは確実で、大黒柱が開幕早々離脱確定したので思わず飯村おさむ監督も天を仰ぎ虚脱状態に陥りました。

第二GKとしてCristianがいますが能力は2部レベル。まだ21歳なので潜在能力を発揮するための出場機会が回ってきたと思うと好都合ではありますが、いささか不安を覚える展開に。

 

  • 第9節 vs Inhulets(H) 3-2 勝利
  • 第10節 vs Kolos(H) 1-0 勝利
  • 第11節 vs Dynamo Kyiv(A) 3-3 引分

ディナモキーウ相手にアウェーでドローは大金星すぎる。

ポゼッション33%とほとんどボール持たせておいてカウンター狙いっていう戦術は上手くいったけど、3失点はCBのミス由来とスーパーロングシュートなので致し方なし。

右ウィングのShchedryiが3アシストとすごい活き活きしてますね。アーリークロス気味に前線に上げてペナルティエリアに4人くらい走り込むからそのまま決めちゃうっていう得点シーンが多い。

 

  • 第12節 vs Kryvbas(H) 3-1 勝利
  • カップ戦 vs Prykarpattia(A) 2-0 勝利

ローカルダービーなので勝ててよかった

  • 第13節 vs Polissia(H) 6-0 勝利

同じ昇格組との試合。2部時代は4回対戦して一度も勝てなかったけど、今や歴然たる差があるようですね…!

  • 第14節 vs Oleksandriia(A) 0-1 敗北
  • 第15節 vs Minaj(H) 3-0 勝利
  • 第16節 vs Zoria(H) 3-0 勝利
  • 第17節 vs Lviv(H) 3-0 勝利
  • 第18節 vs Chornomorets(A) 1-0 勝利

ここでようやく冬の到来と共に3ヶ月の中断期間へ。

消化試合数の違いはあれど、なぜか暫定1位

右ウィングShchedryi君が前半戦だけで16アシストと大爆発していて、昇格組とは思えない13勝1分4敗という結果。勝ち点40ってもうほとんど残留確定したような数字なので本当にビビる、正GK大怪我したのになんか後任のCristianが好セーブ連発していてめちゃくちゃ調子がいい。これならマジでいける気がするぞ、大陸大会枠!

 

後半戦へ続く