北海の砂島より

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交通警備員・飯村おさむ(約53)渡欧挑戦記【4】ベルギー2部編

2年間のウクライナ生活に終止符を打ち、飯村おさむが次なるステップアップ先として選んだのはベルギーのYellow Red KV Mechelen

ベルギーの古豪にいきなり就任する謎の日本人

ウクライナ時代の監督報酬が年3万ユーロで、ベルギー来た途端10万ユーロに跳ね上がったのでもう監督業の傍ら警備員バイトしなくて済みますね(してたのか)。

このKVメヘレンは1988年にカップウィナーズカップUEFAスーパーカップ二冠を果たした古豪で、ベルギー1部優勝4回とかなり立派な歴史を誇るクラブみたいです。一応国際タイトル優勝経験ありというのは驚き。

でもベルギー2部優勝7回というのも目を引きますね。さては筋金入りのエレベータークラブだな……?

ちなみになんか有名選手いないかなって探したらゲーム内ではナインゴランが現役最後の生活を過ごしてた。

 

ウクライナ時代に比べるとSNSのフォロワーが桁違いに多い

サポーターの皆さんも情熱的で忠誠心の強い層が大半を占める感じですね。面白いサッカーをやってほしいという要望はふわっとしすぎてて困るけど、まあ大量得点すればいいのかな。じゃあ全員FW!!!

 

~受難その1~ 監督支持者0人

このダイナミクス画面開いたときに思わず目を背けた

移籍履歴見たところ大きなメンバーの入れ替わりがなく、コアメンバーでずっとやってきたから選手間のまとまりは良いんですが、突然やってきた住所不定禿頭日本人指揮官に対する不信感がカンストしている。

そして主力級の選手たちが全員、降格にともなって退団希望みたいですね……。当然彼らがチーム内序列では影響力の高い地位を占めるので不満がチーム全体に波及して、目も当てられない状況です。

 

とはいえまずはやれることからやっていきましょう。監督に対する支持も好成績を収めれば自ずと上がっていくはずです。

降格したのは自分たち選手も原因の一つに含まれると思うが、降格したらしたで退団したくてめちゃくちゃ激怒しているチームリーダーVanlerberghe氏。

そこで魔法の言葉「絶対再昇格決めて1部でプレーさせてやる。約束しよう」

チョロいもんである

こんな感じで退団希望の主力選手全員に昇格の約束を持ちかけ、あと1年だけ引き止めることに成功。もちろん再昇格できなければ主戦力流出でクラブは崩壊するので背水の陣である。

 

KVメヘレン選手紹介~

というわけでいきなり24/25年の選手紹介だ。☆マークで飯村おさむが考える選手の重要度も書いてみた(5段階評価)

  • キャプテンMF Rob Schoofs ☆☆☆☆☆

ずっとベルギー国内で闘い続けてきた30歳で、中盤なら全て天性でこなせるパサー。お手本のような性格でキャプテンシーを発揮し、不利な状況でも絶対に諦めない姿勢がかっこいい。ただフィジカル的な強さに欠け、頭脳的な動きでひらりひらりとマークをかわすローミングPMの役割が一番得意。パス15・視野16がウクライナではお目にかかれなかった水準なので神に見える。この人を主軸に据えた戦術を組もう。

 

  • 左ウィンガー Nicola Storm ☆☆☆

単騎突破できる感じではないけど、虎視眈々と裏抜けを狙ってスピードに乗ってクロスを上げるのが得意。その名を体現して嵐のようにクロスをぶち込んでくれ(?)
二列目全部できるのはいいけど片足使う傾向が強そうで、大外ウィンガー起用になるか。

 

  • 右ウィンガー Alessio da Cruz ☆☆☆☆

利き足は右だけどほぼ両足使いで、全体的に欠点がない。前線ならどのポジションでも熟達以上というポリバレント性も嬉しい。オフザボールの良さが攻撃の脅威になりそう。契約最終年なのが気になる。再昇格の約束をしてるけどそうすると昇格決まるまで契約更新してくれないはず。

 

  • 快速アタッカー Julien Ngoy

スキルとメンタルは非常に残念な水準だが、それを補って余りある足の速さ。しかし練習態度見てるとプロ意識に欠け、飯村おさむが求める献身性や勝利意欲も低く、ジョーカー起用でも微妙に使いづらそう。☆マークがついてないのはそういうこと。昨季の1部成績も全試合出場して3得点で、そのくせ評価額は一丁前なので放出候補その1。

 

動きは鈍いものの恵まれたガタイを活かしたボール奪取が目を引く。足元は並。集中力9は少々ミスが多いかも。ハイラインは厳しいかもしれないが、積極性を買ってディフェンスラインもガンガン行く感じにしてみる?

 

貴重な左足センターバック。守備力高くて90分間集中を切らさずパスもさばけるので理想的な選手に見えるけど、位置取りの悪さや視野の低さ、何よりコンディション調整が下手でビッグネームにはなれなかった感じ。でもうちではスタメン級。

 

  • 左ウィングバック Boli Bolingoli ☆☆☆

優れたフィジカルで献身性も高い選手。弱点を挙げるとまず守備が軽く、ドリブル特性を持ってる割にドリブルが得意ではない。おまけにクロス能力も微妙なチグハグさで、単にポゼッションを下支えする起用になるか。でもこれだけ快速なら相手ウィングのマッチアップは安心かも。

 

  • 左ウィングバック Victor Wernersson ☆☆

能力は2部相応。でも左サイド全部こなせるし右サイドバックの位置もできる万能さは、ベンチ入り7名のベルギーリーグでは本当に貴重。逆足使えるのもいいね。

 

中盤もこなせてキャプテンシーも高い。ロングスローが得意だったり足元の技術が全体的に微妙なところはサイドバック向きかな。右ウィングのda Cruzの後ろをカバーする分には不満点ない。

 

  • 右ウィングバック Iebe Swers 

足の速さピカイチで位置取りも良く、攻撃得意な選手だけどスタミナ5が全体の足を引っ張ってる。ここまで極端な例はなかなか見ない。交代投入で均衡を破る役割かな。

 

恵まれたガタイと献身性で駆け回る感じ。中盤の選手にしてはパスが微妙でドリブルの方が得意っていう謎さ。だいぶ使いにくいけどこのフィジカルでハードワークしてくれるならまあいいか。

 

  • スイーパーキーパー Gaetan Coucke

非常に足が速くて奇抜さ14、飛び出し15、ひらめき16っていう何しでかすか分からないタイプのGK。なんとなく顔も神戸の飯倉選手に似てる気がする。ポジショニングが悪く集中予測冷静さオール10って最終ラインの砦として本当に不安になるし、セットプレー対応もめっちゃ怖い。昨季は25試合で評価6.43らしくそれを物語っている…。
だがワシはお前に賭ける…!好きなだけピッチを駆け回れ!!死なば諸共、全責任は監督が取る!!!

 

  • 左アタッカー Joseph Amuzu ☆☆☆☆

肉体派ドリブラー。バランス15は狭いエリアでも強引に突破できそう。メンタルは荒削りなところがあるがまだ19歳で潜在能力も高いので、ドンドン起用してあげたい。

 

  • ストライカー Gentian Belaj ☆☆☆☆☆

小柄ながら一瞬で置き去りにする加速力、類まれなテクニックに裏付けられたドリブル、ここぞという場面で決めきる冷静さ……まるで得点するためだけに生まれてきたみたいな選手。これで18歳だから末恐ろしい……メンタルに磨きをかけたら一流クラブにいてもおかしくない。たまたまフェイスパックが登録されてなくて風貌が不明なのもポテンシャル感じられてイイ。

 

  • 黒子役 Kerim Mrabti ☆☆☆

本職はトップ下だけど、先述のBelaj君を引き立たせるには相方のFWが必要だろうというわけでこの方。フィジカル的な強さはないけど、献身性の高さを見込んで偽9番としてBelaj君が活きる裏スペースを作りながら、中盤とのつなぎ役を期待する。

 

他にも勇敢さだけでメシ食ってきた熱血漢センターバックとか、適性アメフトなのに間違えてサッカーやっちゃった感じの選手とか、色々面白い選手はいるんですが揃いも揃って練習態度が酷くてプロ意識に欠けるので放出。

あと特に秀でた能力がない限りチームワークや献身性のない選手も放出します。今はクラブが完全に落ち目の状況なので結束力を重視。

 

ベルギー2部リーグはベンチ入り7名で5人交代と、ベンチ要員が大陸大会並の少なさなのでスカッド編成が難しい。GK3名+フィールドプレイヤースタメン10名+ベンチ7名の合計20名まで絞り、あと2~3名予備で若手選手を登録する。

サポーターからは「面白いサッカーをしろ」と要望されているので、大量得点を期待できそうなテンポの速いハイプレスショートカウンター戦術を基本にする。

 

~戦術~

最初の選手層だけで雑に組んだ雛形はこれ。

ディフェンスラインは最大まで押し上げる。ハーフコート空くけどスイーパーキーパーCouckeのスピード15と飛び出し15に全幅の信頼を寄せる。1対1は10らしいです…。

CBの足の遅さも一抹の不安を覚える点だが、裏を取られて失点したらその分得点すればよい。最終ラインもガンガン積極的な守備にいくようStep Up More指示を入れた(実はシーズン途中でもっと慎重になるようDrop off Moreに変えたりしている)。

 

4バック4トップでめちゃくちゃスペースが空く中盤はたった2枚で、キープレイヤーのSchoofsにローミングプレイメイカーとして好きなように動いてもらい、残りのスペースを運動量豊富なOum Gouetに埋めてもらう。中盤のフィルターができないのでかなりここはリスク取った。ただオフザボールの良い2人に「ポジションを離れていい」指示を与えたので、攻撃面では柔軟にパスコースを作ってくれることを期待する。

 

さて左サイド。左ウィングに左利きクロス屋Stormと右利きドリブラーAmuzuの二人いて起用を悩んだが両方交互に使ってみる。その後ろのコンプリートWB・Bolingoliはサイドを突進するタイプなので内に切り込むAmuzuなら問題ないが、大外に張るウィンガーStormだとレーンが被りがちで渋滞するので、器用なWernerssonをインバーテッドWBで起用する。

右サイドは基本的に右ウィングDa Cruzに好きなようにやらせて、その背後をあまり頻繁に上がろうとしないSBタスクでバランス取る。

 

2トップはフォルスナインMrabtiが相手DFを釣って空いたスペースをBelaj君が突くことしか考えてない。一応フォルスナインが中盤まで下りてきてパス繋げてほしいという思惑もある。

シーズン途中でフォルスナインからディープライイングFWに変更したけど似たような役回りなので深い意味はない。F9だとドリブル重視でMrabtiはあまり得意ではなく、DLFだとボール保持を期待される感じでより溜めを作って相手を釣れるのでは?という判断。

 

~24/25夏の移籍~

さてこうして既存の戦力だけで戦術組んでみると、意外とこのままでもいけそう。なにせ降格したばかりの元1部クラブなので、戦力的には2部のトップレベルなのだ。

Bチームとユース含めると恐ろしい選手層だ。しかしこの中で戦力に数えられそうなのはほんの一握りで、2年ほどAIが管理してたクラブなので有象無象のユース選手が大量にいるのでまず首切りから始めたい。何より財政状況が降格したせいで非常にマズい

 

ゲーム開始前から多重債務あり

過去2年間の経営収支

二枚目上段のグラフは2シーズンまとめたもの。年間通して赤字で貯金を食い潰しているのはまあどこも同じなのでしょうがない。毎シーズン開幕時にスポンサー料や移籍金収入で一気に黒字になっていて、前年の負債を帳消しにしている流れが見て取れると思う。

そして2年目から赤字の傾斜が緩やかになってはいるものの貯蓄は目減りしており、明らかに実入りが少なくなって3年目プレシーズンの今50万ユーロしか貯金がない。それもこれも昨季の降格が致命傷となって響いていて、最大の収入源であるスポンサー料がおよそ半額になっている。昨季の赤字をプラマイゼロに戻しただけで、今季の予想赤字に耐えうる貯金が残されていないのだ。

さらにどうしようもないことに、昨季の収入内訳の42%は理事会による緊急の投資ということが判明した。つまり、純粋かつ健全な売上収入というのは50%強に過ぎないという貧弱財政状況だった。それでもウクライナ時代よりはましだが、あのときと何が違うかと言われたら2750万ユーロの借金があることだろうか……。はい、支出として莫大な額のローン返済が含まれてきます……。

 

~受難その2~ 馬鹿フットボールディレクター(直球)

KVメヘレンへの監督就任時に「フットボールディレクターを解雇しない」という約束を結ばされたので監督の領分の外なのだが、入ってみてわかったのは非常に交渉下手なFDがこのクラブに長年居座っていて、スタッフ賃金水準が選手の賃金水準とまるで変わらず恐ろしい額が支出として計上されている、ということだった。

23/24年の選手賃金合計が700万ユーロとしたらスタッフ賃金は300万ユーロで、いやほんの20名程度のスタッフにどんだけ払っとんねんと心の底からツッコミが入った。百歩譲ってフットボールディレクターは仕事してるからいいけど、テクニカルディレクターとかいう完全な置き物まで雇っていて監督の飯村おさむより給与が高い。何しとんねんマジ。ちなみにクビにしようとすると補償金も高い。

 

~飯村経営コンサル入ります~

まず1部にいた昨季の収入総額はざっと2100万€(先述の通り実際の売上はこれの半分で1100万€)。そして支出総額は2300万€なのでそもそも約200万€赤字なのだが、降格を経て赤字額はさらに広がることを覚悟しなければならない。

というのもまずスポンサー料が半額に減らされたし、リーグの放映権料も1部と2部ではブランド力や視聴者数が段違いなので大きく減るはず。チームとして低迷期にあるので人気も失いつつあり、シーズンチケット収入やグッズ売上も減るとみて間違いない。

昨季は900万€もの理事会投資という名の延命治療が施されたが、今季もそれをアテにするのは個人的に好ましくない。なので支出を大きく削減する。

 

昨季の支出内訳をみてみると最大の支出は選手賃金720万€で、次いで借金返済440万€、スタッフ賃金300万€、税金150万€……と続いていく。とりあえず一番崩せそうなのは選手賃金か。

結論から申し上げると60名が不要選手としてリストアップされ、ひたすら売却売却売却で40名の放出に成功した。それでも20名は売れ残ってしまったので、契約切れまでBチームで干物にする。この作業はひたすら虚無で苦痛だった。しかしおかげで飯村おさむ65体分におよぶ移籍金650万€の収入になり、賃金支出300万€の削減につながった。だいたいこれで900万€の収支改善で昨季の理事会投資額とほぼ同等の資金を捻出した形になる。

売却選手の中には日系ブラジル人にルーツを持つベルギー人選手もいて惜しい気持ち

 

しかし当座の金ができると欲が出るもので、まずはトレーニング改善のためコーチ陣を揃え、性格の微妙なユース育成責任者の首を挿げ替える。

負荷軽減のためマルチタスク人間と化した飯村おさむ

スタッフ賃金また増えちゃった……。何気に監督として移籍したときにウクライナから連れてきたゴールキーパーコーチが結構優秀で助かる。

 

ついでにスタッフも整理するかと思ったけど選手整理で精根尽き果てたので断念。

美人フィジカルトレーナーに疲れを癒してもらいたい人生だった

 

~ようやく24/25夏の選手補強~

え?また金使うんですか?当たり前だ!!!

とはいえ財政的に厳しいのは相変わらずなので、フリーで契約できる選手や格安で獲得できる選手に限ります。

だいたいスカッド眺めてたら黄丸で囲った4つのポジションがちょっと弱いな~と感じるので重点的に探しました。

なんだろうこの小型犬のような可愛さは。引退後は絶対にザンクトガレンでスタッフになりたいと思っている生まれも育ちも生粋のザンクトガレンっ子。両足使いでハードワーカーなのに惹かれて破格の5万ユーロで獲得した。ザンクトガレンはきみ要らないってよ……。

彼がいれば右サイドバックをインバーテッドWBタスクにして過労気味の中盤を支えられると思う。

 

CBとしては身長低い部類だが、左利きでパス捌けてそこそこ足が速い万能型。まだ22歳と若く伸びしろもあるので60万ユーロ払ってインテルから獲得した。インテルからメヘレンって思いっきりステップダウンだけど、リーグ優勝するから!!って約束したら来てくれた。

 

  • 水を運ぶ人 Franck Kanouté

上田綺世の同僚で、セルクル・ブルッヘから放出されていたところを自由契約で獲得した。基本的に欠点がなく、豊富…とまではいかなくても優れた運動量で常にいてほしい場所にいてくれる選手。こんな良い選手を放出するなんて……今夏の最大の掘り出し物。

 

  • ストライカー João Resende

21歳ピチピチですよ~。ベンフィカBチームから17万ユーロで獲得。模範的な性格で勝利意欲も高く、なんでもできるがゆえにトレクァルティスタ適性が高い。アドバンストFWのBelaj君の相方として攻撃を牽引してほしい。あと成長もしてほしい。

 

以上4名を補強してかかった移籍経費はたったの82万ユーロ!ウクライナ時代に培われた極貧補強戦術が光る。

 

とまあプレシーズンのことだけで7000文字も書いてしまった。実際のシーズンの模様はまた次回。

 

つづく