交通警備員・飯村おさむ(53)渡欧挑戦記【3】ウクライナ1部・新天地編
長い冬の中断期間を経て、雪解けが進んだ3月に迎えた2024年最初の試合はカップ戦。
ここまでMetalurh ZpとPrykarpattiaを破って3回戦に進んだNyva Ternopilの次なる相手は、23-24リーグ前半戦でコテンパンにやられたDnipro-1でした。
21-22シーズンからリーグ3位にいる強さは伊達ではなかった。ポゼッションを握られ、カウンターはことごとく跳ね返され、スコア上は惜敗みたいな感じだけど内容は完敗だった。強豪相手にカウンターが通用しないならどうしよう。
- 第19節 vs Metalist 1925(A) 4-0 勝利
だがその戦術的不安を払拭するような試合が中二日で訪れたのでうやむやになった。
ウクライナ1部で重要な選手になれそうなポテンシャルの若手がちょいちょい生えてきた。今は寄せ集めロートルの力で1部定着を目指してるけど、本当にこれから1部クラブになるならユースに目を向けなければ。
- 第20節 vs Veres(H) 0-0 引分
とニヤニヤ思ったらうちも勝ち点取りこぼし。
典型的な決定力不足に泣かされた一戦。シュート17本打って枠内たった2本って…xGなんてあてにならないな(涙目)
- 第21節 vs Vorskla(H) 2-0 勝利
- 第22節 vs Shakhtar(A) 0-1 敗北
惜しかった。本当に惜しかった。シャフタールはユース選手をスタメンにしてくる舐めプぶりだったけど彼我のシュート数やxGに大差はなく、運に恵まれればアウェーで引分もありえた。実に悔しい!
リーグ戦3分の2を消化して15勝2分5敗と、昇格組にしては好結果が続いておりジワジワと飯村おさむの知名度が上昇してきた。
ロートルをかき集めることが「知名度の高い選手を獲得する」って良い感じに表現されてて草。
- 第23節 vs Inhulets(A) 3-1 勝利
- 第24節 vs Dnipro-1(H) 0-0 引分
- 第25節 vs Dynamo Kyiv(H) 0-0 引分
- 第26節 vs Kolos(A) 1-2 敗北
しかし順風満帆にとはいかない。ドニプロやディナモキーウといった強豪相手に貴重な勝ち点1を得たことは喜ばしいものの、ここまで上位キラーとしてリーグを荒らしてきたKolosとの一戦では完敗。本当に学ぶべきはKolosのサッカーなのでは…?
この24~26節で立て続けに勝ち点を落としたことで、次勝てなければ大陸大会出場枠(ECL)から転落する危険性が出てきた。当初は残留できれば御の字みたいな感じだったけど勝ち続ければ欲が出るもので、なんとしてもECL出たいんじゃ!!
こっちでも欲が出ちゃった。今は当然突っぱねられるだろうけどいずれなりたいですね…。でもこんなことしでかしておいて理事会から怒られないのは予想外だった。契約も今季までだし、どうしようかねえ~。
そして季節的にユース選手生成時期。
たった1人だけ有望そうな若手がいたので契約した。みるからにプレッシングFWな感じの能力で、泥くさい献身性の高さは飯村おさむとっても好きです。
- 第27節 vs Kryvbas(A) 7-0 勝利
枠内シュート8本で7得点!今まで溜め込んできた決定力出血大サービスかな?
監督が誕生日だからっていうのもちょっと作用してか、アウェーゲームなのにめちゃくちゃ選手が頑張っていた。なんかいいですね~チーム全体の固い結束を感じる。
- 第28節 vs Polissia(A) 1-0 勝利
- 第29節 vs Oleksandriia(H) 2-0 勝利
- 第30節 vs Lviv(A) 1-0 勝利
そして最終節まで一気に連勝して駆け抜けた。飯村おさむ率いるNyva Ternopilの1部挑戦、残留どころかECL出場権を獲得して3位フィニッシュ!
シーズンプレビューなんてアテにならんのやぞ~??(得意気)
~23-24統括~
最終的な順位表↓
さすがにシャフタールとディナモキーウの壁は越えられなかったが、それに追随するようにして20勝4分6敗の成績を収めた。ドン引きカウンター戦術には似合わない得点数がそれを物語っていて、
1位 シャフタール 75得点
2位 Nyva Ternopil 62得点
3位 ディナモキーウ 48得点
まさかの全体2位の得点数だった。コーナーキックからの得点に関しては10とリーグ1位なので、長身選手をとにかくゴールエリアに突っ込ませるルーチンが功を奏したように思う。
ただ通算得点期待値は実際の得点数を14点も下回る48.0だったので、この上振れ具合は何が原因だったんだろう……わからん。
またドン引きならひたすらボール握られて劣勢のままシュート打たれまくるんじゃないかと思ったが、意外とそうでもない結果に終わった。本当にFM23からローブロックとディフェンスライン低い設定が選択肢の一つになってきた感ある。
ほかNyva Ternopilが高順位を記録したスタッツを挙げていくと、ヘディング成功率69%(1位)、ドリブル回数(2位)、ハイインテンシティスプリント回数(1位)、無失点18/30回(1位)、タックル成功率80%(1位)。
ハイインテンシティスプリントがよくわからんけど、とりあえずカウンター攻撃の時に長い距離ドリブルでガンガンいけたらしいことはスタッツから想像できる。あとやっぱこの固い守備、ヘディングとタックルに注視して選手集めた甲斐ありましたね。
選手成績としては、
ターゲットマンSukhoruchkoがリーグ15得点で惜しくも得点王ならず。その半分の出場時間だったスーパーサブRiznykは10得点!でもスタメンで出すと試合から消えるんですよね……皆が疲れた後半に出すのが効果的っぽい。
そして驚くべきは右ウィングShchedryiが4得点19アシストと大爆発、2部時代から一貫して戦ってきてくれた左ウィングBorysenkoも10得点7アシストと堅実な成績を残してくれました(ウクライナリーグ最優秀新人受賞)。
で今年限りで移籍しちゃうのが決まったんですけど、トップ下のKvashukも14得点8アシストとしっかり爪痕残して去ることに。前線の4人がまんべんなく成績残してくれたのは本当に嬉しい。
ただボランチのPrykhodko君とか攻撃タスクなのにあまり攻撃に関与してない感じはあったなあ。めちゃくちゃ守備で奮闘してくれてたけど。
守備といえばシーズン途中から急遽正GKとなったCristian君はクリーンシート18回でウクライナ最優秀ゴールキーパーに選出されてました。
まじで助けられたな~第二GKの重要性!第二GKの重要性!
ってよく見たら飯村おさむもう55歳なのか……時の流れは早いもので。
知名度上昇と共にちょっとSNSのフォロワー増えた。サポーター層も変動するんですね。
リーグの順位賞金もなければカップ戦の賞金もなく、ロートルばかりで選手売却の移籍金収入も見込めないので、来年はより厳しくなりそう。この2年間は最低限の補強でなんとかしてきたのですが、さすがに状況的に上向かないクラブ・リーグに長居するのもな~
よし移籍しよう!(薄情)
テルノーピリの皆さんにはお世話になったけど、昇格と残留の経験を積んでコンチネンタルCライセンスまで取得できたし、ウクライナ国内最優秀監督賞も受賞した。そろそろ次の段階にステップアップしてもいいでしょう。ちょうど監督の契約も2年満了しますし。
6月頭くらいから監督ポスト空いてるクラブを探します。中でも面接してくれたのは以下の通り。
- スイス1部…シオン、セルヴェット、ルツェルン
- オーストリア1部…アルタッハ、2部…アドミラ
- デンマーク1部…ヴィボーFF
- ポーランド1部…ピアスト・グリヴィツェ、ザグウェンビェ・ルビン
- クロアチア1部…HNKゴリツァ
- ルーマニア1部…CFRクルジュ
- ベルギー1部…ユニオンSG、KVメヘレン(降格決定済)
- リーグドゥ…グルノーブル、ラヴァル、ル・アーヴル
- セリエC…ピサ
- ツヴァイテリーガ…カイザースラウテルン、カールスルーエ
2年前の就活に比べて明らかに選り取り見取り!!ベルギーのユニオンSGとか三笘選手が修行してたから日本人にとっては聴き馴染みのあるクラブですよね。他にもカイザースラウテルンみたいな古豪から反応あったのが嬉しかった。
正直東欧のクラブはほとんど知らなかったけど、ウクライナ1部より財務状況が良いところがほとんどで余計この国から脱出したい欲に拍車をかけた。シャフタールとディナモキーウ以外毎年大赤字ですもんね~…。
で、これら全部に就職可能だったかというと実はそうでもなくて、何回かリロードしながらやってみた感じ面接はしてくれるけど最終的にお祈りされるクラブが大半だった。独伊仏のクラブは監督人材が多いからか全部お祈りされたし、比較的裕福なスイス1部やオーストリア1部も駄目だった。ユニオンSGも面接落ち。
う~ん厳しいなあ……また寒村のクラブから成り上がるしかないかと思ってた矢先!
来季ベルギー2部で再昇格を目指すKVメヘレンからほぼ内定を貰う。大体この「連れていきたいスタッフはいるか?」っていう打診が来たらほぼ確定!
KVメヘレン、ちらっと選手の市場価値見たら相当凄い。さすがにドイツ2部には負けるが、リーグドゥと張り合うレベル。Nyva Ternopilと比べたら約60倍……!
はい、もう決めました。次回から飯村おさむベルギー2部編、はじまります(即断)